ドックスクーターレースの世界

一体感が堪らない!愛犬と戦い抜くという事

6月18日 関東で活動されている JADC(南関東を中心に活動するドッグスポーツクラブ)の練習会が群馬県で行われるとの事で、大阪から向かいました。
初めてのドッグスクーターと、自分自身も実際の乗って、その奥深さと言うものを感じました。今回は自分へのメモも含め、既に犬ぞりや ドックスクーターをされている方には、当たり前な事でも、全く知らない人に、少しでもその世界を知って貰おうと、自分なりに MTSの車両の違いも含めてまとめました。
あくまで、体験したMTS乗りから見た、スクーターレースという感じの内容です。 一部おかしい所もあるかもしれませんが、ご了承下さいませ。

今回持込んだ車両は、1頭~2頭用の牽引対応のレース用軽量車両 PULKA と 2頭~5頭の牽引対応の 本格マッシング車両&ダウンヒルの DH IRON を持込みました。

レース用とされている軽量PULKA

ダウンヒル・マッシング用 DH IRON

悪路ほど機能性能の差がハッキリ分かる

今回のこの2台。MTSシリーズの中では、どちらかというと対比した存在です。
1つは軽量と蹴り込みに特化したレース用
1つは悪路走破を目的とした重量級

勿論、走り出してしまえば、重量など殆ど差が無いし、逆に一度スピードが乗れば、重量がある分、惰性で減速が少ない。
だから、軽量=有利 とはならないのは、乗る前から大よそ予測はしていました。
今回の走り比べをした環境は、伸びた芝のような場所。(そもそも馬用の 馬場なのでこれが普通なのかな?)
自転車系としては、もっとも苦手な 草 となります。
土などと違って、グリップしない。 少しの水分で滑る。 路面状況が見えない。
一面 緑というのは、遠めで見るとキレイですが、ゴルフ場のグリーン位 手入れされていない限り、とても走りにくいです。

そんな中2つの車両の単体の走り比べをしてみました。

軽量 PULKAは、走り出しこそ、軽快で直ぐに比較的スピードを出しやすいですが、本体が軽い分、ちょっとしたギャップでフロントが浮く。
だからトップスピード前あたりを前後して、乗り切れない。
アスファルト路面など、固い路面であれば、間違いなくPULKAの速さを出すことができるが、ダートや草では、その軽さがアダとなります。

DH IRON は、基本車両の中では一番重たい車両。
これは何も、本体が重いというよりも、採用している ダウンヒルに強い マルゾッキのサスペンションが搭載されいている為、このパーツが重いという事になります。
勿論、素材がクロモリという衝撃に強い素材で出来ていることで、全体が重めなのもあります。
でも、この重さが、悪路では 圧倒的な安定感と、トップスピードの巡航を可能にしてくれます。

タイヤが太く、よくグリップするので、草の上でも、少なくとも45度は倒しこめる。
太いフレームに、殆ど車両が揺れない 圧倒的ストロークのサスペンション。
地面から、ステップまで程よい高さがあるので、変なギャップに影響も受けないにもかかわらず、短時間ならPULKAと同様に蹴り込めるから、スタートダッシュも問題ない。

DH IRON やるやないか!!!(゚Д゚)

正直そう思いました。

ダウンヒル・ダートは勿論ですが、 サイクルドッグをするなら、絶対に DH IRON 界隈のグレードです・・・
例えば

DH RAPTER
203mmのストロークを持つMTS 最上位モデル。

DH IRON
170mmストロークのダウンヒルモデル。
1年前までRAPTERが出る前はこれがNo1スクーターでした。

MUSHING PRO
サイクルドッグをする為に特化したモデル。

共に戦っている仲間がいる。目の前に-。

走り屋だった私には、もう、RVF と一緒に布団で寝たいという位、大好きですし、キックスクーターを乗るというのはそこまで、難しい事でもなければ、スクーターで膝擦りという遊びも出来ない訳ではないけれど…だから倒しこむという事にそれほど抵抗が無い訳です。

ただ、バイクは機械のエンジンです。 スロットル回せば、それ相応のレスポンスが返って来るのが当然で、そうで無ければパーツを交換するなり調整するなり、やはりそこは機械的に直せる訳です。しかし、サイクルドッグの場合は、パートナーが愛犬です。 当然 人と同じように生きており、限界というモノがパーツで決まる訳でもなければ、スタミナというものもあります。
バイクにもエンジンの癖はありますが、ワンコさんの癖は、そんなモノではありません。 もうその領域は一緒に戦い続けてきてこそ、分かる 本当のパートナーにしか分からない世界です。
何より生きてますから。

いや。私もバイクを本当に愛していたので、そんなもん乗ってるライダーにしか、このバイクの癖はわからへん! 彼女よりも大事!という愛車の気持ちは、痛いほど分かります。
分かりますが、それを分かった上で、全然違う!というのは、体験したからこそ言えます。

トップスピードを出すには

初めて見る、スクータードッグの世界。
色々な方が乗る様子を見ながら、スピードを上げるにはどうしたらいいんだろうか・・・。と考えていました。

ちなみに、サイクルドッグ(自転車で牽引)するタイプは、当然サイクルしていては、ワンコのスピードとならないので、最初の数メートルの区間だけ漕いでもOKなどの制約があります。
しかし、スクーターの方は制限がありません。 つまり、いつでも、いくらでも 蹴り込んでOKという事になります。
これは、 ワンコさんの負担をコントロールできるので、トップスピードを維持しやすいという事があります。 自転車の場合は、漕ぎ禁止区間に入ると、焦げないので、後はワンコさんのスタミナと集中力だけが頼りです。

スクーターには制限が無い。 だから、ワンコの負担を限界まで軽減させれば、ワンコさんも走りやすいんじゃないだろうか…と思いながら見ていた訳です。

で、いざ、自分が走らせてもらえる段になって、ビビリました。

ワンコさんの 『早く走らせろ!』感のオーラを!!!
いやぁ、あのガッツというか、やる気 満々感・・・。私も欲しいです(‘A`)

ここで、私を引っ張ってくれるのは、幾多のレースでも勝っている マジなワンコさん。
当然ながら、走りなれてるし、スタミナもOK! 走り方も、私よりかなり熟知している。

完全な ワンコ先輩な訳です。

対して、私は サイクルドッグというものこそ、全くの素人ですが、少なくとも MTSで走りまくってるし、ダウンヒルもアスファルトも草でもOK
スピードに対する恐怖もあまり無いので、ドンと来い!な キッカー後輩

ワンコ先輩とキッカー後輩のタッグで、絶対にハイスピードで抜けようぜ! とう思っていざライド!

スタート直後は、ワンコ先輩の圧倒的な 低速トルクからの加速に、MTSが引っ張られます。
それにあわせて、こちらもそのスピードを殺さぬように、走る→MTS飛び乗る→蹴る を行います。
結構 早くトップスピードに乗ったのもつかの間。
最初のコーナーに入ります。

ワンコ先輩は、常に道幅のど真ん中を走るという事を理解した私は、 とりあえず アウト・イン・アウトでコーナーパス。
DH IRON の基本性能の高さゆえ、全くぶれずに、攻め込めます。

よし分かった!  全然攻め込めそうだ!

そう思った私は、 蹴り込みのフォームを、ノーマルから、 ダート用のフォームに切り替えて、さらにスピードアップを図ることにしました。

ワンコ先輩の負担を限り無く0にしよう!そう思い蹴り込み、MTSの車速が上がっていった時に、異変が起こりました。

MTSの車速が、ワンコ先輩のスピード(以下 ワン速)を超えてしまったんです。

MTSが ワン速を超えると、当然ラインが緩む。

ラインが緩むと、ワンコ先輩の負担は 文字通り 0 になります。

その瞬間。 2頭のワンコ先輩が振り向いて、目が合いました。

 

ワンコ先輩: (´・ω`・)エッ?

私: Σ(゚д゚) エッ!?

実は、ワンコ先輩は、引っ張る負荷が0になると、引っ張らないという事を後から知りました。
バイク乗り的に言うと、ワン速のレッドゾーンに入れてしまったという事になります。
オーバーレブした ワンコ先輩は、負荷が0なら、もはや走る必要ないんじゃ? と言わんばかりに徐々に失速。
それでも、ワンコ先輩は、その経験豊かさから、この不甲斐ない、初めてのキッカーを最後の最後まで引っ張っていってくれました。

機械の様に、レブリミッターがある訳でもないし、それが分かるのは ラインの引っ張る状態と、体感する身体の引っ張られてる感のトルクのみ。
そのワンコさんの状態、さらに車両を通す為のライン取り。
ドックスクーター無茶苦茶 奥深い!!!

ワン速のスピードは、勿論 気温・体調・スタミナによって変わる訳で、その調整と蹴り込み感が分かるのは、それこそ日々 どれだけ一緒にいて、細かい所まで見ているかという パートナーにしか分からない訳で、衣食住を共に過ごして、日々の練習があるなかで、感じ取れるようになってくるのもです。

なかなか、シビアな世界ですが、だからこそ得られる ワンコとの一体感。
引っ張られて楽しい~!とか、もう、楽しいのは分かってますが、それを圧倒的に超えての、『一体感!』この 気持ちは中々良いものです。

日本ではかなり少ないドッグスクーター(ギグレース)人口ではあります。 犬ぞりは想像はついても、このレースというか、科目を知らない人も多いと思いますが、どんなモノなのか、ほんの少しでも、伝わればと思い、まとめて見ました。

 

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